Software Product Description ________________________________________________________________ 日本語DECforms Version 1.2 ソフトウェア仕様書 SPD 26.K4.00 仕様書の包含する範囲 この文書は,日本語DECformsのソフトウェア機能仕様を述べたもので す。本文中は,日本語DECformsを単に"DECforms"と記述します。 DECformsの概要 DECformsは,アプリケーション開発者に強力でかつユーザ・フレンドリ なインターフェイスを開発するためのソフトウェア開発ツール一式およ びランタイム環境を提供します。 DECformsは,VT100,VT200,VT300シ リーズ端末,ならびにPCやワークステーションと互換性のある端末エ ミュレータなど広い範囲をサポートします。 DECformsは,ヘブライ語 VT100,VT200およびVT300シリーズ端末でヘブライ語フォーム(右から 左へのテキスト方向)の開発および表示もサポートします。 DECformsは,VAX FMSやVAX TDMSなどの当社の従来のフォーム・システ ムの能力を強力に組み合わせたものを提供します。さらに,DECformsは 当社の従来のフォーム製品では利用できなかった重要な機能をいくつか 提供します。 DECformsはフォーム・インターフェイス管理システム(FIMS)のため に提案されたANSI/ISO標準案を当社のVMS環境で実現したものです。フ ォーム・インターフェイス管理システムは産業ソフトウェア・システ ムであり,いかなる企業あるいは企業グループ,いかなる組織あるい は組織グループの所有物でもありません。 DECformsは,CODASYL FIMS Journal of Developmentに説明されている全機能のサブセットに,VMS 環境用に調整された拡張機能を含めて提供します。 ANSI/ISO提案は標準提案プロセスを通して改良されますが,当社のFIMS 製品はその提案に従います。 DECformsソフトウェアで実現されている FIMS提案の要素がCODASYL FIMS委員会によって変更された場合,たとえ それらの変更が前のバージョンとの互換性をなくすものでもDECformsの 将来のリリースに取り入れられることがあります。 FIMSモデルの基礎となる基本原理はDECformsで次のように具体的に表現 されています。 o フォームとプログラムの完全な分離 o フォーム処理の効率的な分散 o 使用し易さ o ユーザ・インターフェイス制御の柔軟性 o プログラミング言語からの独立性 DECformsアーキテクチャに反映された最も強力な原理の1つは"フォーム とプログラムの完全な分離"です。 DECformsでは,ユーザ・インターフ ェイス処理は,アプリケーション・プログラムから完全に排除され,フ ォーム自身の中に分離されています。アプリケーション・プログラム は,ユーザ・インターフェイスにおけるデータの収集および表示は気に せず,データ処理だけに専念できます。これはアプリケーション・プロ グラムの開発を簡略化し,保守を容易にします。 DECformsは会話形式のフォームに全く新しい概念を導入したので,フ ォームと機能の完全な分離が可能となりました。従来のフォーム・シス テムでは,フォームが単純にフォームの外観を記述するフィールドおよ びバックグラウンド・テキストの集合でした。 DECformsでは,フォー ムは,外観と関連した単なる要素ではなく,ユーザのフォームとの対話 処理を制御するデータおよび手続き型要素を含んでいます。 フォームは,どんな幅および高さ(物理的な表示装置の枠内で)にもな りうる1つもしくは複数のパネルで構成されます。アプリケーション・ プログラムのリクエストを満たすために必要とされるデータが1つの画 面に物理的にあるいは見た目に合わないとき,必要なフィールドおよび バックグラウンド・テキストをすべて含むために,多数のパネルを1つ のフォーム内に定義することができます。このようにして,フォームは 必要なだけ大きくすることができます。 パネルが画面で表示されるとき,それらは,画面のどの場所にも配 置することができるビューポート(ウィンドウ)に表示されます。 DECformsはこれらのビューポートを管理するための完全なウィンド ウ・システムを提供します。多数のビューポートは,どんな構成(重な り合っていても)の画面においても同時に存在することができます。 DECformsは,関連するパネルを使ってビューポートを自動的に表示させ たり削除したりすることによって,アプリケーション・プログラムに必 要なデータをすべて集めて表示します。 フォームはフォーム記述言語(IFDL)によって記述されます。最初に説 明したように,IFDLには手続き型構成要素も含まれます。フィールド・ レベル制御,画面移動,パネル管理,クロス・フィールドおよび関連の 確認は,アプリケーション・プログラムにもどらなくても,IFDLによっ て行うことができる多くのフォーム処理状態中にあります。 DECformsでは,1つのアプリケーションが多数のタイプのユーザを必要 に応じて調整したインターフェイスでサポートすることが可能です。こ の調整はレイアウトと呼ばれるもうひとつのDECformsの構成要素を利用 することによって実現できます。特定の環境のために調整された一連の パネルは,レイアウトの中でグループ化することができます。 1つのフ ォームは異なる環境のために各々調整された多数のレイアウトで構成す ることができます。 DECformsは,実行時に端末ユーザに適したレイア ウトをフォームの中から選択します。こうして1つのアプリケーション を,ある会社のニューヨーク支社とパリ支社の両方で実行できるように 書くことができます。ニューヨークでは実行時に英語のレイアウトを選 択し,パリではフランス語のレイアウトを選択します。 アプリケーション・プログラムは,簡単な6つのレコード・レベルのイ ンターフェイスを通してDECformsと対話します。1つのレコードも多数 のレコードも,1回のリクエストで転送することができます。 すべてのフィールド・レベルの処理はアプリケーション・プログラムに よってではなく DECformsのランタイム・システムによって実行されま す。 DECformsのランタイム・システムでは,幅広い種類のフォーム, パネルおよびフィールド・レベルの制御と,次のものを含む処理能力を 提供します。 o 次の特性を持ったスクロール領域 - 1次元もしくは2次元配列を含んでいる - 部分的もしくは全行がスクロールする - スクロールされる項目ごとに複数の行がある o フィールドを条件付きで保護する,強調表示する,および秘密にす る o リアルタイム事象に基づいたビデオ属性をダイナミックに変更する o カーソルが存在するときにフィールドを強調表示する o 実行中のパネル要素としてのアイコン o ビデオ属性にマッピングすることによるVT241sおよびVT340sのカ ラーサポート o フォーマット確認 - 文字タイプ - 必要とされた項目 - 最小限の長さ - フィールドを満たす - データ入力なし o 内容確認 - 範囲のチェック - リストのチェック o 状況確認 - 一般的な表現との対比 - クロス・フィールドの確認 o オペレータが希望のどんな方法を使ってもフィールド間で移動する ことを可能にする組込みの柔軟なフィールド移動機能 o フィールド項目のタイムアウト o 挿入/重ね書きモードの切り替え DECformsは,オペレータ環境に合わせて機能を定義し,キーボードを再 定義するための非常に柔軟なメカニズムも提供します。これは,多重 キー機能定義のサポートを含んでいます。 DECformsはほとんどのVAXデータ・タイプをサポートします。これは データ・タイプ変換がほとんどの場合,アプリケーション・プログラム によって実行される必要がないことを意味します。 国際化機能 DECformsには,アプリケーションが多言語の環境のユーザ・インターフ ェイスをサポートすることを可能にする多数の国際化機能があります。 これらには次のものを含みます。 o 1つのフォームに多数の自然言語レイアウト o カンマを小数点に置換することを含む数値データのフォーマッティ ング o 多数の文字通貨記号 o 多数の文字集合 o 右から左へのテキスト方向を含むヘブライ語のフォーム開発および 処理のために統合されたサポート o すべてのメッセージは翻訳できるようにVMSメッセージ・ファイルの 中に存在する o 翻訳できるようにフィールドおよびリテラルが柔軟な位置にある コンポーネント フォーム開発環境(FDE) FDEは,フォーム設計者がフォームを対話式に作成することを可能に し,設計者のフォームの作成および変更の多様な作業を支援するメニ ューを提供します。FDEはフォームの外観を作成するためのパネル・エ ディタと関連しています。FDEでは, VAX Language-Sensitive Editor (そのプロダクトを購入したユーザのためにも)あるいは日本語VAXTPU に基づいたその他のエディタを利用して,フォーム記述言語(IFDL)で DECformsのフォームを記述することができます。 パネル・エディタ パネル・エディタでは,"WYSIWYG(What you see is what you get)"方 式で対話式に図形のフォーム要素を作成することができます。パネル・ エディタでは,フォームのパネルの視覚的な要素(バックグラウンド・ テキストおよびグラフィック,そして位置,大きさおよびフィールドの 属性)を対話式で作成することができます。 フォーム記述言語(IFDL) IFDLはDECformsのフォームを完全に記述する半手続き型言語です。これ によって,フォームの外観および機能を明示して,フォームを(非会話 形式で)作成することができます。フォームの外観はパネル・エディタ によって完全に作成することができますが,ファンクション・キーへの 特殊な応答や特殊なデータの確認などのフォームの手続き型な面は, IFDL文を使用して直接指定しなければなりません。 IFDLソース・ファ イルはどのVMSテキスト・エディタでも作成もしくは変更することがで きるテキスト・ファイルです。 VAX Language-Sensitive EditorのテンプレートはIFDLソース・コード の作成および保守を支援するのにIFDL言語の役に立ちます。 DECforms は,VAX Language-Sensitive Editorのコンパイルおよびレビュー機能 もサポートします。 IFDLには,VAX Common Data Dictionary/Plus(VAX CDD/Plus)から レコードおよびフィールド定義を複写するためのCOPY文もあります。 DECformsは特定のフォームがあるレコードを用いたことを示す辞書中 の情報を格納することによってVAX CDD/Plusの部分トラッキングをサ ポートします。 DECformsで,BASED ON属性で定義されたVAX CDD/Plus レコードおよび RDB$RELATIONSを通して参照されるVAX CDD/Plusレコー ドを使用することもできます。 IFDLトランスレータ IFDLトランスレータは,IFDLソース・ファイルを2進形式のフォーム・ ファイルにコンパイルします。これで,フォーム・ファイルを,そのア プリケーションで使用できるようになります。その外観は端末の画面で テストしたり,印刷したりすることができます。 2進形式のフォーム・ ファイルはその他のDECformsユーティリティによって分析したり,FDE あるいはパネル・エディタで編集したりすることができます。 逆トランスレータ 逆トランスレータは2進形式のフォーム・ファイルをIFDLソース・ファ イルに変換します。つまり,IFDLトランスレータの逆の機能を行いま す。この逆トタンスレータを使って,FDEあるいはパネル・エディタに よって作成あるいは変更されたフォームのIFDLソースを編集します。逆 トランスレータが作るIFDLソース文には,フォームの完全な本文の説明 も含まれます。 出力ユーティリティ 出力ユーティリティは次の3つの機能を行います。 o フォーム・ファイルからフォームのパネルの印刷可能な表現を作り ます。 o フォームを含んでいるオブジェクト・モジュールを作成します。こ れらのオブジェクト・モジュールは,メモリ常駐フォームとしてプ ログラムにリンクすることができます。これにより1つのプログラム が1つあるいは多数のセッションでフォームを使うことができます。 モジュールは,多数のプロセスからの多数のセッションで使用する ために,共用可能イメージ内でリンクすることもできます。 o フォーム・ファイルで命名された手続き型エスケープ・ルーチンへ のポインタあるいはベクタを含んでいるオブジェクト・モジュール を作ります。エスケープ・ルーチンは,フォームの外で処理を行う ためにユーザが作成する呼び出しです。 VAX FMSコンバータ VAX FMSコンバータはVAX FMSのフォームあるいはVAX FMSのフォーム・ ライブラリ中のフォームをDECformsのIFDLソース・ファイルに変換 する移行ツールです。このプロセスで,VAX FMSのフォームの外観を DECformsのIFDLによって記述された類似した外観に変換します。このコ ンバータは,VAX FMSのフォームに関連したアプリケーション・プログ ラムあるいはユーザ処理ルーチンは変換しません。 VAX FMSコンバータ はVAX FMS V2.0以降のバージョンで作成されたフォームで動作します。 VAX TDMSコンバータ VAX TDMSコンバータはフォームおよび任意にVAX TDMSリクエスト・ライ ブラリ定義中のリクエストをDECformsのIFDLソース・ファイルに変換す る移行ツールです。このプロセスは,VAX TDMSフォームの外観およびリ クエスト論理のいくつかをDECformsのIFDLによって記述された類似した 要素に変換します。このコンバータは,VAX TDMSフォームおよびリクエ ストに関連したアプリケーション・プログラムは変換しません。 VAX TDMSコンバータはVAX TDMS V1.7以降のバージョンで作成されたフォー ムおよびリクエストで動作します。 テスト・ユーティリティ テスト・ユーティリティでは,フォームの外観をアプリケーション・プ ログラムとは別にテストすることができます。これによって,最初にプ ログラムを書かなくても,フォームのパネルの外観をチェックすること ができます。 フォーム・マネージャ フォーム・マネージャはアプリケーション・プログラムと表示装置との 間のインターフェイスで,端末上でのフォームの表示およびオペレータ の入力を制御するランタイム・システムです。フォーム・マネージャに は,フォームとアプリケーションとの間の通信を行うための6つのリク エストがあります。これらのリクエスト(フォーム・マネージャ中の ルーチン)によって,アプリケーションで,フォームの使用を許可した り,(別々にあるいは1つの呼び出しで)フォームとデータを送信/受 信したり,セッションの終わりにフォームを無効にしたり,非同期でリ クエストを取り消したりできます。フォーム・マネージャでは,フォー ムを印刷することもできます。 サンプル・アプリケーションおよびデモンストレション・フォーム サンプル・アプリケーションは,フォームおよびアプリケーション・ プログラムがどのように対話するかを示します。サンプルのうちの1つ は,少数のパネルを持つ単純なフォーム,およびフォーム・マネージャ を通してフォームのリクエストを作成する単純なアプリケーション・プ ログラムです。この入門的なサンプル・アプリケーションはFORTRANで のみ利用できます。 いくつかのフォームのリクエストを作成するアプリケーション・プログ ラムと同様に多くのパネルおよび多様な事象への多くの応答を持ったフ ォームを含むより複雑なサンプル・アプリケーションもあります。この アプリケーションはAda,BASIC,C,COBOL,DIBOL,FORTRAN,Pascalお よび PL/Iで利用できます。 サンプル・アプリケーションに加えて,DECformsキットには,デモンス トレーション・フォーム,それらのソース,およびDECformsの多数の キー機能を説明するデモンストレーション・ガイドのパッケージが含ま れています。 VMSシステム用のオプションのDECformsランタイム・システム オプションのDECformsランタイム・システムが別に用意してあります。 このオプションで利用できるDECformsコンポーネントは,フォーム・マ ネージャのみです。ランタイム・システムでは,アプリケーションを開 発するために用いられる複数のマシン上で端末表示もしくは管理のため に,DECformsを使用して,アプリケーションを実行することができま す。 ドキュメント 日本語DECformsのドキュメント・セットは次のもので構成されます。 o 日本語ドキュメント - フォーム開発の手引き - プログラミング・ガイド - 日本語機能の手引き o 英語ドキュメント - Guide to Developing Forms - Guide to Programming - Reference Manual - Guide to Converting VAX FMS Applications - Guide to Converting VAX TDMS Applications - IFDL Syntax Summary Card - Keypad Card 必要なハードウェア 「システム・サポート付加情報(SSA 26.K4.00-A)」に指定された VAX, MicroVAX, VAXstation, あるいは VAXserver 構成 必要なソフトウェア o 日本語 VMS オペレーティング・システム 本製品に必須の,あるいはオプションとして使用できるソフトウェア製 品と,その適用バージョンについては「システム・サポート付加情報 (SSA 26.K4.00-A)」を参照してください。 注文情報 最寄りの日本 DEC の各支店/営業所にお問い合わせください。 ソフトウェア・ライセンス 本ソフトウェアは日本 DEC 標準契約条項中のライセンス規定に基づい て提供されます。 日本 DEC のライセンス条件とその方針についての詳細は,最寄りの日 本 DEC の各支店/営業所にお問い合わせください。 ライセンス管理機能 本ソフトウェアは VMS ライセンス管理機能(LMF)をサポートしていま す。ライセンス単位は,CPU の性能に応じて割り当てられます。 ライセンス管理機能についての詳細は「VMS Operating System Soft- ware Product Description (SPD 25.01.xx)」または VMS Operating System のドキュメント・セットの中の「License Management Utility Manual」を参照してください。 ソフトウェア製品サービス 日本 DEC では,様々なサービス・オプションを提供しています。詳細 については,最寄りの日本 DEC 各支店/営業所にお問い合わせくださ い。 保証 本ソフトウェアについては,日本 DEC 所定のソフトウェア保証基準に 定められた保証が提供されます。 1991年1月 AE-B583A-TE-JO