Software Product Description ________________________________________________________________ 日本語DECdecision/VMS Version 1.1 SPD 25.M4.00 ソフトウェア仕様書 仕様書の包含する範囲 この文書は,日本語DECdecision/VMSのソフトウェア機能仕様を述べた ものです。本文中は,日本語DECdecision/VMSを単に"DECdecision"と記 述します。 DECdecisionの概要 DECdecisionは意志決定アプリケーションであり,ワークステーション 上のVMS DECwindows 環境で動作します。 DECdecisionは4つのソフトウェア・コンポーネントで構成されます。 データベース問い合わせのためのAccess,財務/ビジネス・データを分 析するためのCalc,ビジネス・グラフを作成するためのChart,各コン ポーネント間で繰り返し実行されるタスクを記録し自動化するための Builderの4つです。 DECdecisionではプルダウン・メニュー,ダイアログ・ボックス,ウィ ンドウ,要素のカット/ペースト,マウス・ポインティング・デバイス のサポートなどの DECwindows 環境に共通の表示方法および操作方法を 採用しています。したがって,DECdecisionは製品全体にわたって共通 した表示方法を採用しており,DECwindows向けに開発された他のアプリ ケーション(たとえば日本語DECwriteなど)と同じ操作環境を提供しま す。 機能 DECdecision Access(データベース) AccessはDECdecisionのデータベース管理コンポーネントであり,ロー カル・データとリモート・データの分散アクセス機能,ウィンドウの使 用による簡単なデータの問い合わせと操作,パーソナル・データベース の作成機能などを備えています。 Accessの機能は次のとおりです。 o データ操作機能: たとえば,データ集合を分割するための「選択表示(少く)」,集 合を拡大するための「選択表示(多く)」,値の1つのインスタンス を表示するための「無重複表示」などの機能や,1つ以上のフィール ドによって昇順または降順にデータを並べるための「並び換え」な どを提供します。 o データ編集機能: 簡単なデータ入力,更新と削除,カット/ペースト,最後に実行した 入力の取り消しなどの機能を提供します。 o 演算機能: レコードのサブグループによる合計,平均,最大値と最小値などの 機能を提供します。また,演算列機能も提供され,この場合は,列 は1つ以上の他の列を基礎にするか,または1つの列に定数値を乗算 した値を基礎にしたりすることができます。 o ワークグループ内でデータベースを共用するためのパブリック・フ ォルダとパーソナル・データベースのためのプライベート・フォル ダ o データ保護サービス: ユーザが表データを読み込んだり,変更するのを許可または制限す るための「保護」,ユーザが表データをオープンできる方法(「更 新不可」または「更新可」)を指定するための「アクセス・モー ド」を提供します。 o 日本語DECchartを自動的に起動し,データを渡すための「チャート 作成」ユーティリティ o 後で使用するためにコマンドを記録するための「レコード」と「プ レイバック」 o 日本語DECwriteで作成した文書や,スキャナで取り込んでDDIF (Digital Document Interchange Format)に変換したイメージなど のDDIF文書に対するデータベース内の参照を格納し,表示するため の「ビューアを起動」ユーティリティ o 他のDECdecision表データを組み合わせたり,サポートされる他の ソースからのいろいろなデータ・ファイルを組み合わせるための 「結合」機能 o Accessの外部のデータに対する参照を作成し,管理するための「参 照」ユーティリティ: 外部のデータとして参照できるのは,Rdb/VMSデータベース,DATA- TRIEVEドメイン,DATATRIEVEを通したRMSファイルとDBMSデータベー ス, VIDAを通したIBM [1] IDMS/R[TM]およびDB2[TM]ファイルなどで す。ただし,RMSファイル,DBMSデータベース,およびIBMデータは 読み込み専用です。 o 1つまたは複数のデータ・ソースからのデータを使用する単純レポー ト作成機能: この機能を利用すれば,ユーザはデータをサブセットに分割し, ソートや行およびページの制御区切りの設定,結果をASCII, PostScript[R],またはDDIF形式で出力できます。日本語DECwriteで はDDIFレポートが使用されます。 DECdecision Calc CalcはDECdecisionの分析コンポーネントであり,公式と式の作成を容 易にするための,ウィンドウを使用したスプレッドシート・インターフ ェイス,スプレッドシート・マクロ言語,算術演算関数,統計処理関 数,および財務処理関数を備えています。 Calcの機能は次のとおりです。 o 財務機能: FV(将来価値),IRR(内部利益率),NPV(正味現在価値) ,払い 戻し分析,利息計算,支払いなどを行えます。 o 算術演算: 絶対値,指数関数,常用対数と自然対数,平方根,四捨五入などを 行えます。 o 統計関数: 平均値,度数,最大値,最小値,偏差,標準偏差,合計などを計算 できます。 o 三角関数: 正弦(Sine),余弦(Cosine),正接(Tangent)の計算と変換がで きます。 o 論理演算子: And,Or,Not,条件文などを使用できます。 o 定数値: E(2.71828),PI(3.14159),条件値に対するIf,脱落値に対する NA(適用されない)などを使用できます。 o 日付/時刻関数: weeks,years,today,nowなどのカレンダ関数を使用できます。 o チャートを動的に更新するためのチャート機能: セル内の値を変更すると,チャートは自動的に更新されます。 o 複数の(ローカルとリモート)スプレッドシートを1つのマスタ・ス プレッドシートに結合するためのリンク/結合機能 o 重要なデータを保護するための「表示省略」機能と「ロック」機能 o 後で使用するためにスプレッドシート・コマンドを記録するための 「レコード」と「プレイバック」 o 同じ公式を使用して異なる値に対して分析を実行するための「What- ifテーブル」 o 複雑なマクロを開発したいユーザのための内部プロシージャ・プロ グラミング言語 日本語DECchart(グラフィック) 日本語DECchartはDECdecisionの統合されたチャート作成コンポーネン トであり,Calc,Access,および外部のソース・ファイル(DECgraph, ASCII,Lotus WK1)からのデータに対して直接機能します。 日本語DECchartは使いやすく覚えやすいデータ・チャート作成アプリ ケーションです。複合文書で使用する質の高いチャートを作成できま す。チャートを作成する際に指定することはたった2つ,すなわち,チ ャートを作成する対象となるデータと,使用するチャート形式です。こ れだけで,チャートを自動的に作成されます。 日本語DECchartの機能は次のとおりです。 o 9種類の定義済みチャート形式: 縦棒グラフ,横棒グラフ,折れ線グラフ,層グラフ,面グラフ,散 布図,株価チャート,ヒストグラム,複合グラフ o 最大 45 種類のチャート形式から選択可能 o ユーザ定義チャート形式を作成するために定義済みチャート形式を 変更する機能 o DECdecisionで作成したデータの読込み o データ入力,変更,操作が容易なワークシート・インターフェイス (ワークシート内のデータのカット,コピー,ペースト) o 散布図のための自動的なトレンド・ラインの作成 o オーバレイ: テキスト,直線,長方形,矢印をチャートの任意の場所に表示 o カラー・サポート: 座標軸,基準線,フレーム,格子,凡例,目盛りラベル,目盛り, グラフの塗りつぶし,オーバレイに対する色指定 o チャート属性の変更: 座標軸,基準線,データ値,フレーム,格子,凡例,目盛りラベ ル,目盛り,陰影,グラフの間隔,グラフのオーバレイ o テキスト属性の変更: フォント・サイズ,書体,太さ,斜体(英数字のみ) o ファイルの柔軟性: データ,チャート・スタイル,オーバレイ,色指定を別々のファイ ルに保存するか,またはすべての要素を1つのファイルに保存可能 o 塗りつぶしパターン,線のパターン,マーカ形式,属性の選択が可 能 o ユーザ設定可能 o オーバレイの移動およびサイズ変更をする機能 DECdecision Builder (プロシージャ自動化ツール) BuilderはDECdecisionの各コンポーネントの実行を自動化するための ツールであり,自動化プロシージャを作成するためにクロス・ウィンド ウ操作を記録して(たとえば,アプリケーションの起動,データの流 れ,制御の流れなど),プロシージャを作成します。Builderには頻繁 に繰り返し実行するプロシージャを記録する機能,格納する機能,およ び再生する機能があります。 Builderの機能は次のとおりです。 o 自動レコード・モード: 情報の流れとコマンド・シーケンスを自動的に収集できます。 o 手動レコード・モード: 非統合アプリケーション,ツール,およびデータの流れを示す矢印 を選択できます。 o プレイバック・モード: 対話方式で表示しながら,またはバックグラウンドでBuilderプロ シージャを実行できます。 o デバッグ・モード: Builderで作成したプロシージャのエラーを突き止め,修正できま す。 o ガイド・ユーティリティ: プロシージャの説明情報を格納し,表示できます。 o ツールボックス: MAILなどの非統合アプリケーションに対する接続を格納できます。 非統合アプリケーションとは,DCLから起動できるプログラムまたは アプリケーションです。非統合アプリケーションをBuilderで自動的 に記録することはできません。 o カット/ペーストを用いた編集機能 o 他のBuilderプロシージャ内に組み込まれたプロシージャを作成した り,CalcおよびAccessプロシージャを組み込むためのネスティング 機能 システム全体の特長 使いやすさ DECdecisionは,コンポーネントの起動操作を容易にするための制御パ ネル,DECdecision環境のいろいろな属性を変更するための設定機能, 各コンポーネントについての概要情報を表示するためのヘルプを備えて います。さらに,現在使用できる機能の一覧を速やかに表示するため の,ポップアップ・ウィンドウが製品全体にわたって統合されており, また,経験の豊富なユーザのためのアクセラレータ・キーとコマンド行 入力機能も備えています。 ヘルプ DECdecisionでは,2種類の方法でヘルプを起動できます。1つは,制御 パネルから「概要」を選択することによって,各コンポーネントに関す る説明を表示する方法です。もう1つは,DECdecisionの各コンポーネン トでヘルプを起動して,特定の機能に関する説明を表示する方法です。 取り込み機能と取り出し機能 DECdecisionには取り込み機能と取り出し機能があり,広く使われてい るアプリケーション形式にファイルを転送するための使いやすい機能 を提供します。DECdecisionは,これらのアプリケーション形式との間 でデータを交換するために,複合文書アーキテクチャ(CDA)コンバー タ・アーキテクチャを利用しています。 DECdecisionに添付されているコンバータは以下のとおりです。ただ し,Kanji Tabular コンバータ以外のコンバータは日本語化されていな いため,これらのコンバータで日本語を含む文書の取り込み/取り出し を行うことはできません。 表 1: 取り込み機能 ________________________________________________________________ フォーマット Access Calc Chart ________________________________________________________________ KANJI Tabular ◎ ◎ ◎ ASCII Tabular ○ ○ ○ WK1(Lotus 1- ○ ○ ○ 2-3[TM] V2.0 と V2.1 ファイ ル) CALCGRD(VAX ○ ○ ○ DECalc V3.0A, VAX DECalc- PLUS V3.0A) DIF(Data ○ ○ ○ Interchange Format) ________________________________________________________________ 表 2: 取り出し機能 ________________________________________________________________ フォーマット Access Calc ________________________________________________________________ KANJI Tabular ◎ ◎ ASCII Tabular ○ ○ WK1(Lotus 1-2-3[TM] ○ ○ V2.0 と V2.1 ファイ ル) ________________________________________________________________ 上記以外のコンバータについては,『日本語DECdecision/VMS Version 1.1 システム・サポート付加情報(SSA 25.M4.00-A)』を参照してくだ さい。 日本語DECwriteとの関係 日本語DECwriteは,テキスト,グラフィック,イメージ,およびサポー トされるアプリケーション・データを含む文書を作成/書式化するため の複合文書処理アプリケーションです。 日本語DECwriteのライブリンク・ユーティリティを使用することによ り,AccessやCalcで作成したレポート,およびChartで作成したグラフ を日本語DECwriteに統合することができます。さらに,日本語DECwrite でDECdecisionのDDIFレポート・ファイルを直接読み込むことができま す。 ドキュメント DECdecisionのドキュメント・セットは,以下のもので構成されていま す。 o 日本語ドキュメント - インストレーション・ガイド - リリース・ノート - DECchartユーザーズ・ガイド* * 『DECchart ユーザーズ・ガイド』は,英語ドキュメントの 『DECchart User's Guide』を翻訳したものです。 o 英語ドキュメント - DECdecision Overview - DECdecision Access User's Guide - DECdecision Builder User's Guide - DECdecision Calc User's Guide - DECdecision Calc Macro Guide - DECchart User's Guide - Converters Reference Guide 必要なハードウェア 『日本語DECdecision/VMS Version 1.1 システム・サポート付加情報 (SSA 25.M4.00-A)』に指定された VAX, MicroVAX, VAXstation, ある いは VAXserver 構成。 必要なソフトウェア DECwindowsを実行するワークステーションの場合: o 日本語VMSオペレーティング・システム(およびVMS DECwindowsの必 要な構成要素) 本製品に必須の,あるいはオプションとして使用できるソフトウェ ア製品と,その適用バージョンについては『日本語DECdecision/VMS Version 1.1 システム・サポート付加情報(SSA 25.M4.00-A)』を参照 してください。 注文情報 最寄りの日本DECの各支店/営業所にお問い合わせください。 ソフトウェア・ライセンス 本ソフトウェアは日本DEC標準契約条項中のライセンス規定に基づいて 提供されます。 日本DECのライセンス条件とその方針についての詳細は,最寄りの日本 DECの各支店/営業所にお問い合わせください。 ライセンス管理機能 本ソフトウェアは VMS ライセンス管理機能(LMF)をサポートしていま す。ライセンス単位は,ユーザ数に応じて割り当てられます。 ライセンス管理機能についての詳細は『VMS Operating System Soft- ware Product Description (SPD 25.01.xx)』または VMS Operating System のドキュメント・セットの中の『License Management Utility Manual』を参照してください。 ソフトウェア製品サービス 日本DECでは,様々なサービス・オプションを提供しています。詳細に ついては,最寄りの日本DEC各支店/営業所にお問い合わせください。 保証 本ソフトウェアについては,日本DEC所定のソフトウェア保証基準に定 められた保証が提供されます。 ___________________ [1] IBM は米国International Business Machines社の略称です。 [R] PostScript は米国Adobe Systems社の商標です。 [TM] IDMS は米国Cullinet Software社の商標です。 [TM] DB2 は米国International Business Machines社の商標です。 [TM] Lotus 1-2-3 は米国Lotus Development 社の商標です。 1991年6月 AE-B778A-TE-JO